情熱 写人
ー 加納 将人 ー
※本内容は、LEICA STYLE MAGAZINE の連載「情熱写人」をWebに再掲載したものです。
加納 将人氏には2023年4月発刊の41号に登場していただきました。
フォトスタジオなどで写真撮影の経験を積み、独立してからつい最近までずっと国産カメラを使ってきました。ライカのカメラに意識が向いたのは6、7年くらい前。なにかの雑誌でライカを愛用する写真家の記事を読んだのがきっかけです。その写真家が「ライカを使い出すと写真が下手になる」と語っていて、その言葉がとても印象的で一体どういう意味なのだろうと興味がふつふつと湧いたんです。どうしても実際にライカを触ってみたくなり、ショップに実機を触りに行ったその場で購入を決めてしまったんです。それが2018年。手に入れたのはライカM10と50mmのズミルックスレンズ。
確かに使ってみるとこんなにも思い通りに撮れないのかと衝撃を受けましたね。自分の思ったような絵がなかなか出てこない。しかし僕の好きな写真家のひとり、ブルース・ギルデンはライカで素敵な写真を残している。僕だってなんとか使いこなしたい、そのためには毎日触って慣れるしかないと思うようになり、どこに行くときでもライカM10を持ち歩くようになったんです。
あるとき東南アジアへ撮影旅をしている中で、何気なく撮った1枚のスナップがアウトフォーカスだったにもかかわらず、思いがけず自分の心に刺さったんです。アウトフォーカス=失敗作という概念を覆してくれたというか。すごく心地いい雰囲気を感じ取ることができ、表現の幅が広がった手応えすら感じられたんです。それ以降、ライカを仕事でも使い始めるようになっていきました。するとオートフォーカスのライカも欲しくなって、ライカSL-2-Sも購入してしまいました。今では広告撮影の現場で大活躍しています。ライカSL-2-Sは動画撮影に向いているところも決め手でしたね。
ライカのカメラの強みは、撮影した場面の空気の質感や匂いをじわっと表現できるところ。まだまだ使いこなしているとはいえませんが、ライカを仕事で使う頻度は国産カメラと比べて七対三の割合にまで大逆転しました。今後は、ライカを携えて撮影旅に赴き、現地の人々の生活や日常を撮りたいと考えています。その作品を写真展か写真集なのか、いずれまとめて発表できたらうれしいですね。
加納 将人 / Masato Kanou プロフィール
フォトグラファー。1978年生まれ、山口県出身。写真館やコマ―シャルフォトスタジオで写真を学び、30歳で独立。現在はフリーランスで、広告や雑誌の分野で活躍するほか、スポーツや旅をテーマにした作品も多数撮影している。
公式サイト:http://kanoumasato.com
Instagram:@toramaru_life
LEICA STYLE MAGAZINEにて連載中の「情熱写人」では、今後の活躍が期待される写真家にスポットをあて、ライカや写真に対する熱い想いを語っていただいています。
※今回掲載した内容は発刊当時の情報になります。加納 将人氏の最新情報は公式サイトもしくは公式SNSをご覧ください。