ライカ M EV1 実写インプレッション|写真家が感じたM型ライカの新たな可能性

Impression Report by 写真家 斎藤 巧一朗

ライカM EV1  Summicron-M 2.0/28 ASPH. 1/2.5秒 F4.0  +0.3EV   ISO40

長くライカカメラを伴に写真を撮ってきた私には、ライカMシリーズならではの機構の面白さ、製品の仕上がりを魅力に思うものの、撮影を伴にすると不自由さを感じていて、しかしながらその不自由さにこそ他のカメラでは撮れない大事なものがあるという事は理解していました。Mシリーズはこの時代にマニュアルフォーカス、レンジファインダーの独特なピント合わせ、そしてレンジファインダー機構上、近接撮影はかなわない。不自由というより不便だと思いつつも、Mシリーズを長年愛用してきました。

そもそも広告写真などを生業とする職業カメラマンの私は、フィルム時代にはライカの一眼レフカメラ、ライカRを愛用し、デジタルになってからは、その流れでライカ SLシリーズを常用してきました。正確なオートフォーカス、ズームレンズなら自由な構図がつくれ、見たままが写真になるファインダー視野率100%。美しい見え方のファインダーは、ホワイトバランスを変えればその色に表示をしてくれる利便性の高さ、素早い連写など、まさに撮影に自由さをもたらすカメラとして、SLシリーズを手に仕事をしてきました。

とはいえライカMシリーズは、ライカSLシリーズに比べれば撮影では不便で不自由、それでもその軽快さ、最小限な考えで撮影に臨める事は、とても魅力に思っていました。

そんな中で手にした最新のライカM EV1は、ライカSLに近い自由な感覚のライカMシリーズのカメラだったのです。
手触りは紛う事なくライカMで、上質な仕上がりのカメラを手にする際の感覚、良い写りへの期待が高まります。
M EV1は、慣れが必要なレンジファインダーは電子ビューファインダーに置き換えられ、 視野率100%のファインダーは正確なフレーミングをもたらしてくれます。
SLシリーズのファインダーのように、ホワイトバランスがファインダー上に反映され、 暗い場面でも明るく見え、撮影する写真をそのまま見ている感覚。そう、自由な感覚なのです。

これまでのライカMシリーズの光学ファインダーのフレーミングはファジーなもので、ピントはどの距離まで合致し、絞っても、どこまでピントが合っているのかを確認することはできません。
しかしライカM EV1ならそれも容易なこと。むしろボケを見るためのファインダーと思うと楽しくなり、ライカMレンズの美しいボケを楽しみつつ撮れるM EV1が好きになり始めます。
また最新のMレンズは、最短撮影距離をレンジファインダー機能で合わせられない70cmよりも近いものが多く発売され、まさに電子ビューファインダーのM EV1に向いているもので、 ライカM11-Pにも別付の電子ビューファインダー、ビゾフレックスをつければ近距離での撮影を確認できますが、M EV1の方がスマートです。

ライカSLシリーズのオートフォーカスに慣れている私は、ライカMシリーズのマニュアルフォーカスのピント合わせは、フォーカスリングを手で回し、直接入力でここを見て!と意思を込めてピント合わせをして、自分の意思をより反映した写真を撮る!というカメラだということを再認識し始めました。そこでしっかりピントを確認できるライカM EV1には、ピント合わせが難しい大口径レンズが相応しいのでは?と思うに至ります。ノクティルックスやズミルックスのように一部にしかピントが合わず、ボケ量の大きいレンズは電子ビューファインダー機にこそいいと、思うに至りました。
またMシリーズ最軽量のM EV1は、小さく軽量なレンズの組み合わせも合うものです。 リバイバルのズマロン28mm F5.6、オールドレンズなら28mm、35mmあたりの小型のものを選べば、かつてない軽快なライカMカメラとなります。
携行性の良さならライカQシリーズもありますが、Qシリーズ並みの重量でレンズが替えられ、レンズ選びの自由さももたらされるなら、M EV1を持ち歩くのも良いです。 そう、デイリーライカとして普段使いに持ち歩くと、スマホで撮る写真よりはるかに楽しい写真ライフになりそうです。

ライカMシリーズに良さを感じるものの、難しさを感じている方には、まずは手にしてみることをお勧めします。自由さをもたらしてくれるライカM EV1は今こそ生まれるべくして誕生したカメラで、最新のライカそのものでした。

神社の門から見える丘の上に広がる住宅街は長崎らしい光景。

神社の門から見える丘の上に広がる住宅街は長崎らしい光景/ライカオンラインストア
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/2500秒 F1.4 +0.3EV ISO640

鳥居にピントを合わせると本堂はアウトフォーカス。
ズミルックスの柔らかな表現。

ライカM EV1  Summilux-M 1.4/50 ASPH.
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/1000秒 F1.4 +0.3EV ISO640

コーヒーショップのなじみの店員さん。お店の器具などはピントが外れ、情報量を減らすことができる。

ライカM EV1  Summilux-M 1.4/50 ASPH.
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/350秒 F2.0 +0.3EV ISO1250

最新のズミルックス50mm F1.4は最短撮影距離45cm。
柔らかなパステル画のような表現はズミルックスらしい。

ライカM11 + Summilux 50mm(11728)
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/640秒 F1.4 -0.3EV ISO1250

新型のノクティルックス35mm F1.2 は最短撮影距離が50cm。
ライカMでお花を撮ることができるようになるとは。

ライカM EV1  Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
ライカM EV1 Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
1/640秒 F1.4 -0.3EV ISO400

ノクティルックス35mm F1.2 は大きいボケを得られ、かつシャープなレンズ。

ライカM EV1  Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
ライカM EV1 Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
1/10000秒 F1.4 -0.3EV ISO100

なにげなく撮る1枚が、 金属の質感を精密に描写していて感激する。

ライカM EV1  Noctilux-M 1.2/35 ASPH.ライカM EV1 Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
1/500秒 F2.0 -0.7EV ISO80

同じノクティルックスでも50mmになるとさらにボケ量が大きい。 ピント合わせがシビアだがM EV1なら上手く合わせられる。

ライカM EV1  Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
ライカM EV1 Noctilux-M 1.2/35 ASPH.
1/500秒 F2.0 -0.7EV ISO80

柔らかさならズミルックス50mmが好み。

ライカM EV1  Summilux-M 1.4/50 ASPH.
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/15秒 F1.4 +0.3EV ISO800

テーラーのショーウインドー。
ガラスに映る灯りのボケの配置を考えつつ撮ったもの。夜の撮影でも、電子ビューファインダーは少ない光量をピックアップして明るくファインダー上に見せてくれる。

ライカM EV1  Summilux-M 1.4/50 ASPH.
ライカM EV1 Summilux-M 1.4/50 ASPH.
1/15秒 F1.4 +0.3EV ISO800

最後にシャープな写真を。 ズミクロン28mm小さく持ち運びにいい。
とてもシャープで微妙なトーンもよく再現してくれる。遅いシャッター速度ながら手持ち撮影。

ライカM EV1  Summicron-M 2.0/28 ASPH.
ライカM EV1 Summicron-M 2.0/28 ASPH.
1/2.5秒 F4.0 +0.3EV ISO400


Photo by 斎藤 巧一朗



斎藤巧一朗 / Koichiro Saito プロフィール

1968年鹿児島県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒。
広告撮影業に従事し、人物、食品、観光などを撮影している。

最初のライカは、21歳で購入したライカR5。
以降ライカと共に撮影を続けてきた。
古いライカから最新機種まで多くを手にしてきたが、特にライカSL2は、ライカドイツ本社でトレーニングを受け、ライカの理解を深めた。

 




快適なマニュアルフォーカスを実現する、初の電子ビューファインダー内蔵M型ライカ

「ライカM EV1」は、Mシステムの伝統的な価値観に電子ビューファインダー(EVF)の機能性を組み込んだモデルです。
視度補正機能と快適なMFアシストにより、正確なマニュアルフォーカスをサポートします。特に、被写界深度の浅い大口径のズミルックスレンズやノクティルックスレンズ、さらには超広角・望遠・マクロレンズを使用した撮影に最適です。


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