CONNECTION by Leitz Phone 1|Vol.2
独自の表現を生業とする人物に取材。「Leitz Phone 1」を軸に、
それぞれの活動と写真との結びつきや、写真に対する思いを語っていただきます。
撮る人の“まなざし”が表現できる
越智康貴
第二回は、独自の感性を持つ気鋭のフローリストとして注目を集めている越智康貴さん。写真を撮ることがなにより大好きで、花を撮るだけにとどまらず、日常のシーンで面白いものを発見するたびにシャッターを押す指が自然に動いてしまうとか。
“つい最近まではライカ D-LUXを愛用し写真撮影を楽しんでいましたが、最近新しい相棒が加わりました。それが「Leitz Phone 1」です。”
使ってみたらスマートフォンのカメラとは思えない映像美に驚いたそう。“ライカらしい写真”が撮れることに心を奪われ、「Leitz Phone 1」に魅了された理由をじっくりと語っていただきました。
ライカらしい写真を期待どおりに撮影できる
写真は見るのも撮るのも大好きで、1日に100枚ぐらい撮ってしまうほどのめりこんでいます。趣味というよりはライフスタイルの一部といっていいかもしれません。今はいろいろなカメラを使っています。
ライカのカメラも愛機のひとつです。20代の頃にライカ D-LUXを贈り物でいただいてからずいぶん使い込んできました。これが僕にとって初めて手にしたコンパクトデジタルカメラ。軽すぎることもなく、持ったときの感触が心地よくて、サイズも小さいのでどこにでも持っていけるところがとても気に入っていて、旅に行くときはいつも持ち歩いていましたね。
ライカD-LUXを使ってみて感激したのは、目で見たままの映像が撮れること。また僕の写真の好みは、露出アンダーで撮影した暗めの写真なのですが、そのトーンで撮っても陰影がくっきりと表現され、光がボヤっと写ることなくきれいに描写されるところに惹かれました。光が射している部分と陰になっている部分のディテールをリアルに表現してくれるんです。
もともと僕が写真にのめり込み始めたのが2010年前後で、その頃の写真のトレンドは強めにデジタル加工をしたクリーンに見える写真でした。でも、ライカのカメラで撮影した写真は、いかにもデジタルっぽいパキパキとした硬い雰囲気はなく、硬めに撮影しても柔らかい空気感まで写し出せるところに僕の好みがフィットしたんです。それがライカのカメラに抱いた印象でした。
そんななか、ライカ初のスマートフォン「Leitz Phone 1」の存在を知り、いったいどんな写真が撮影できるのかとかなり期待をしていました。ライカD-LUXのような描写性能を備えているのかどうかと。使ってみたら、やっぱりさすがにライカでしたね。きちんとライカらしい写真を撮影できることに驚きました。柔らかな空気感が写し出せて、撮影者の“まなざし”も表現できるんです。そのときに体験したこと、そのときに感じたこと、そのときにまのあたりにしたものを、しっかり写し出せるんですよ。
僕は誰かの写真を見るとき、その要素が表現できているかをまず見てしまいます。ライカのカメラや「Leitz Phone 1」で撮影した写真には撮影者の“まなざし”が加わる分だけ、写真1枚1枚に強い思い入れが持てるんです。それがライカらしさであり、他の撮影機材とは大きく違う魅力だと思います。
本質以上を写そうとすると嘘っぽくなる
僕はフローリストという肩書で活動しています。おもな仕事内容は、花の買い付け、花のメンテナンス、ディスプレイやデコレーション、そして販売です。また、花をコーディネイトし、パッケージして、贈る人と贈られる人の橋渡しをする役目も担っています。いってみれば花を通じてお客様との気持ちを流通させる仕事ですね。そこに絶対的な答えはありません。だから面白いし、やりがいもあり、クリエイティブな刺激と探究心をくすぐられるんです。
そしてこれは僕だけの考え方かもしれませんが、花には役割を与えないというスタンスを持ち続けています。たとえば花に対して、優しいとか可愛いといった感情移入をしません。花の色やかたちを見ると、優しさを感じますが、そもそも野生のいきものなのですべてが優しいわけではないんです。だから花の写真を撮るときも、花自体が持っているもの以上を写そうと下心を出すと嘘っぽくなってしまうと思うんですよ。自分が見えているもの以上は決して撮れないと考え、見たままの、そのままを撮るという気持ちで花に向きあって撮影しています。ただ花を撮影するときだけは、露出アンダーにしないのがこだわりですね。できる限り、その状況のまま撮るようにしています。
自分流の撮影スタイルでいえば、いつもマニュアルモードで撮っています。露出を自分好みに細かく調整したいからです。「Leitz Phone 1」ではタッチパネルでマニュアル操作を行うんですが、直感的に操作できるうえにマニュアル撮影をしている感覚もちゃんと味わえるところが気に入っています。
花をどうすればきれいに撮れるのかとたまに聞かれますが、自分が誰かに見せたいと思う部分や自分が好きだと思う部分をまず明確にしたほうがいいですね。花びらの赤のグラデーションがきれいだと感じたらそこにきちんとフォーカスすれば、想いが伝わる写真が撮れると思います。
これは過去のエピソードなのですが、学生時代にギターの上手な友人がいて、彼にどんなギターを選べばいいか聞いたことがあるんですよ。彼の答えは、デザインが気に入ったものが一番だよ、と。好きなものはよく使うようになるからと言われました。よく使えばそれだけ上達しますよね。カメラにも同じことがいえると思います。今の僕にとっては「Leitz Phone 1」がまさにそうで、写真撮影のモチベーションを上げてくれる存在です。
合理的な美しさを秘めた稀有なデザイン
今思うとやっぱり花を一番多く撮影しているかもしれません。SNSにアップすることは考えずに、思うがまま自由に撮影しています。花以外では、面白いものならなんでも撮りますね。道に落ちているぬいぐるみでも、壊れた彫刻でも、心をくすぐるものがあれば迷わず撮っています。友人から、今日はちょっとカメラ小僧になりすぎているよって注意される日もあるくらいパシャパシャと(笑)。
それほど写真を撮ってしまう性分なので、サッと取り出して、パッと撮るには「Leitz Phone 1」はぴったりなんです。スマートフォンなのでつねに携帯できますし、起動も速いので。それから機能面で驚いたのはRAWデータを残してくれるところ。僕は写真加工をするのが好みではないので、とてもありがたい機能です。そもそもライカのカメラや「Leitz Phone 1」で撮影した写真は、加工せずにそのままがいちばん美しいと思っています。
デザインも気に入っています。使っているとやっぱり注目されますね。レンズの口径も大きくて、ルックスはライカのカメラそのもの。作家の橋本治さんの著作『人はなぜ「美しい」がわかるのか』の中で、人が美しいと感じるものは合理的な出来上がり方をしているという解説があるのですが、ライカのカメラに感じる美しさもおそらく非常に合理的にデザインされているからだと思うんです。「Leitz Phone 1」にもそれを感じます。
これからも「Leitz Phone 1」で、花を含めいろいろな写真を撮ってみたいですね。最近、新しいビジネスモデルをスタートさせようと考えているところなのですが、「Leitz Phone 1」で撮影した写真をSNSなどにアップしながら、多くの人にさまざまなメッセージを届けられたらうれしいですね。もちろん趣味的な写真撮影も、カメラ小僧のように楽しんでいくつもりです。
越智康貴
1989年生まれ。文化服装学院卒業後、花を取り扱う道へ転身。現在は表参道ヒルズで「DILIGENCE PARLOUR(ディリジェンスパーラー)」のオーナーを務めると共に、東京ミッドタウンのイセタンサローネでフラワーショップ「ISdF」も営む。イベントや店舗の装花、雑誌や広告の撮影のスタイリングなども手掛けるほか、花や写真、文章を主軸に様々な表現活動も行なっている。