CONNECTION by Leitz Phone 1|Vol.4
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独自の表現を生業とする人物に取材。「Leitz Phone 1」を軸に、
それぞれの活動と写真との結びつきや、写真に対する思いを語っていただきます。
なにげない日常のシーンが作品になる
菊乃
第四回は、クールなグラフィックやリラックス感を備えたメンズウエアブランド、「PURPLE THINGS」のデザイナーを務める菊乃さん。
写真を学んできた菊乃さんの写真に対するスタンスは、ファッションに対する感性と同じくとても自然体です。力まず、飾らず、日常のさまざまなシーンを日々さり気なく切り取っています。
これまでも写真を撮るときはおもにスマートフォンを使っていただけあって、「Leitz Phone 1」の登場には非常に興味をそそられたようです。
今回は菊乃さんに、ご自身の写真観とともに「Leitz Phone 1」との向き合い方について語っていただきました。
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憧れの存在がとても身近になった
写真の専門学校を卒業し、その後もサンフランシスコとロンドンでデザインを学んだ経験があるので、写真やカメラはずっと身近な存在でした。日常的に楽しく気軽な気持ちで、さまざまなシーンを撮っています。
自分のクリエイションを初めてひとつのかたちにしたのは、2015年に立ち上げたアパレルブランド『PURPLE THINGS(パープルシングス)』です。サンフランシスコに留学していたとき、スウェットやフーディ、スニーカーといった西海岸のスケートカルチャーに代表されるウエアリングが好みだったんです。それがPURPLE THINGSの原点でありコンセプトになっています。ブランドを立ち上げた当初はユニセックスブランドだったんですが、途中からメンズブランドに変更したのも、わたし自身がメンズウエアばかりを着てきたから。結局、いま自分が着たい服をデザインして、つくっているんですよ。
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写真を主軸にした表現やクリエイティブはいまのところ積極的には行っていませんが、今後どう気分が変わるかはわかりません。なにしろPURPLE THINGSの立ち上げも、洋服をつくってみたいという直感に従って始めたくらいなので。もしかしたらこの「Leitz Phone 1」との出会いがなにかを変えるきっかけになっていくかもしれません。
写真を学んできたので、ライカはもちろん知っていました。いつか欲しいと憧れてきたカメラです。そのライカがスマートフォンを出したと聞いても、じつはあまり驚きませんでした。誰もが写真を撮るときにスマートフォンを多用する時代なので、その流れから考えれば想像できることでした。わたしも写真を撮るときはスマートフォンを使っています。コンパクトデジタルカメラも持っているのですが、それはYouTubeなどの動画撮影専用になっています。
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これがライカのパワーなのかと実感
「Leitz Phone 1」を手にしてまず思ったのは、デジタルカメラそのものだなって。とくに「Leitz Phone 1」のシャッター音は、ライカMのシャッター音に寄せているそうで、すごく心地よくて、スマートフォンであることを忘れるほど。シャクッ、シャクッというこのシャッター音を聞きたいがために写真を撮りたくなります。もはやスマートフォンではなく、スマートフォンのかたちをしたライカのコンパクトデジタルカメラという印象です。「Leitz Phone 1」に触れていると、写真学校や留学先でカメラを構えて写真を撮っていたときの感覚がよみがえります。
スマートフォンを使った撮影は、手軽に撮れるぶん1枚1枚の写真に対する思い入れがどうしても薄くなりがちなのですが、「Leitz Phone 1」はコンパクトデジタルカメラに近いので被写体にちゃんと向き合えるんです。その気持ちを引き出してくれることにいちばん驚きました。マニュアル撮影もできるので、なにをどう撮りたいのかをよく考えながら、1枚1枚を大事に撮れるんですよ。
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わたしにとって写真は、作品というよりも記録や記念撮影という感覚。写真学校に通っていた頃も留学時代もずっとそうでした。撮り溜めてきた写真をあとから見返してみると楽しかった瞬間がいつもそこにあり、もしも撮っていなかったら絶対に後悔していたって思うときが何度もあります。だから記念や記録という意味の写真はとても大切なものだと思っています。人物を写した写真がほとんどで、その次に多いのがごはんの写真ですけどね。
光や陰の表現や描写にあまりこだわりません。シャッターを押したいと思ったその瞬間がそのまま撮れていればいいと思っています。撮影後に加工したりトリミングしたりもほぼしません。SNSにアップする写真も含めて撮って出しです。だからこそ「Leitz Phone 1」がいいと思えるんです。「Leitz Phone 1」で目の前に置いてあるチェアをパッと撮るだけでも、どこか雰囲気のある1枚になるからです。
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なんでもない日常の風景が作品らしく美しい仕上がりになることに感動しました。これがライカのパワーなのかなって。今後、「Leitz Phone 1」で作品的な人物も撮ってみたいですね。それから、ふだん自分が撮ったことがないものにもカメラを向けてみたくなりました。
「Leitz Looks」というモノクロ撮影専用モードで、モノクロ撮影にももっとチャレンジしてみようと思っています。写真を勉強していた頃は、フィルムカメラでよくモノクロ撮影をしていたので、そのときの感覚を思い出せそうです。
新しい表現や被写体に出会えそう
デザインもすごく好みです。スタイリッシュでかっこいい。専用のレンズキャップを付けたらライカのカメラそのもの。しいて要望を挙げるなら専用ケースにストラップを装着できたら最高かも。首から下げて、カメラのように持ち歩きたいので。それから専用ケースにパープルカラーがあったらうれしいですね。PURPLE THINGSのブランド名は、わたしがパープル好きだから。身に着けるもの、持ち歩いているものはパープルがとても多いんです。
この先、「Leitz Phone 1」を使うことで、新しい表現や被写体に出会えそうで楽しみです。写真については、わたしはディレクションをする立場で好きな人物を撮り下ろす仕事をしてみたいと漠然と考えています。もともとわたしは、これをやり遂げたい、こんな人物になりたいといった未来像を定めずに、そのときの気分や想いのままになにかを始めるタイプなので、もしかしたら自分で写真を撮って表現するようになるかもしれません。そればかりはわかりませんね。
ただひとつブレていないのは、ファッションブランドのディレクションやインスタグラム、YouTubeなどもそうですが、なにをするにしても自分のセンスを信じながら、自分の個性を表現するクリエイティブワークをこれからもやっていきたいと考えています。
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菊乃
デザイナー・モデル。1990年生まれ、東京都出身。写真学科を専攻後、19歳から22歳までをサンフランシスコとロンドンで暮らす。帰国後デザインオフィスで働き、2015年に自身のブランド「PURPLE THINGS」を立ち上げ、メンズウエアデザイナーとして活動している。
Instagram:https://www.instagram.com/kiki_sun/
YouTube:https://youtube.com/c/STAYINBED