Mレンズの実力

LEICA SUMMARIT M f2.4/50mm

From Leica Style Magazine Vol. 19

この軽快なレンズを持つとストリートスナップへ向かいたくなる。上位レンズのような個性は強くないものの、基本に忠実で正確な描写能力を持ったレンズだ。
ライカM (Typ 240)・f8・1/750秒・ISO 200・WBオート・RAW


LEICA SUMMARIT-M f2.4/50mm
力強い描写を軽快に楽しむ

フォトグラファー 河田一規


2007年にズマリットレンズシリーズが登場したときは2つの点でちょっと驚いた。ひとつめは「ズマリット」というレンズ名だ。古くからのライカファンであれば、「ズマリット」と聞けば1954年に登場した伝説のクセ玉、ズマリット50mmF1.5を即座に思い浮かべるわけだが、それとは開放F値を含めて何も共通項のないレンズにズマリットという名称が唐突に引き継がれたことがちょっとした驚きだった。

ふたつめは35mm、50mm、75mm、90mmという4本のレンズが「ズマリットシリーズ」として同時に発表されたこと。今までにもライカから複数のレンズが同時に発表されることはもちろんあったけれど、このようにシリーズものとして4本同時登場というのはあまり例のないことだったと思う。そんなズマリットシリーズも2014年のフォトキナで新タイプへすべてモデルチェンジし、F2.5だった開放F値は4本ともF2.4へと若干だが明るくなると同時に、鏡胴デザインが現代的なものに改められた。今回は新ズマリットシリーズ4本のうち、50mmを試用してみた。



ライカM (Typ 240)・f2.4・1/60秒・ISO 200・WBオート・RAW


ライカのレンズ開発責任者であるピーター・カルベ氏によると、先代ズマリットシリーズも始めはF2.4で設計を進めていたが、マネージメント的な理由からF2.5の開放値へ落ち着いたという経緯があったらしい。そのため、今回の新ズマリットシリーズはそれほど大がかりな設計変更をすることなくF2.4を実現できたという。

実際に使ってみると、開放F値からも想像できるとおり、写りの傾向はズミルックスのような繊細系ではなく、力強い描写感のあるズミクロンに近い。しかし、小口径レンズにありがちな線が太くなる傾向はまったく感じられず、遠距離から近距離まで撮影距離を問わずシャープな写りが楽しめた。

ズマリットシリーズは、現行ライカレンズの中では比較的買いやすい値付けがされた一般向けレンズだが、その写りのクオリティは上位レンズと比べても個性こそ違え、本質部分での遜色はまったく感じられない。デザイン変更された鏡胴の質感も上々で、その点でも遜色はない。

また、使っていて強く感じたのはレンズが小型軽量であることから来る強烈な軽快感である。この持ち出しやすさと取り回しの良さは、スナップ撮影では大きな武器となるだろう。たとえズミルックスやノクティルックスの50㎜をすでに所有していたとしても、軽快スナップ用に1本欲しくなるかわいいレンズである。




軽量・コンパクトで幅広く活躍

2007年に登場したズマリットM f2.5/50mmの後継モデルとして、2014年のフォトキナで発表された。開放値がF2.5からF2.4へと明るくなり、鏡胴デザインがよりモダンになっているのが特長。ブラックアルマイト仕上げの他、シルバーアルマイト仕上げも用意されている。

絞り込むにしたがって周辺の解像力が上がっていくのは当然だが、
画面中心部については絞り値にかかわらずほぼ同等の性能を備えている。


※ライカズマリットM f2.4/50mmの販売は終了しました。

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TECHNICAL DATA   ライカ ズマリットM f2.4/50mm

画角

画角(対角線、水平、垂直) 35mm判(24×36mm)  47°、40°、27°

光学系

レンズ構成 4群6枚
入射瞳位置(第1面からの距離) 2.3mm

撮影設定

撮影距離 0.8mm〜∞
目盛り メートル及びフィート表示
最短撮影範囲/最大撮影倍率 約338mm×507mm / 1:14.1

絞り

設定方式 クリックストップにより設定(1/2 ステップ)
最小絞り F16
絞り枚数 9枚

その他

レンズマウント すばやい着脱が可能なライカMバヨネット、
デジタルMカメラ識別6ビット・コード付き
フィルターマウント 内側にねじ込み式フィルター用のねじ、非回転式、フィルターサイズ E46
レンズフード ねじ込み式のレンズフードを付属
本体仕上げ ブラック、シルバー

寸法・質量

先端からバヨネットフランジまでの長さ 約 33mm
最大径 約 52mm
重量 約 190g

フォトグラファー 河田 一規 (かわだ かずのり)

1961年横浜市生まれ。
小学3年生の頃、父親の二眼レフを持ち出し写真に目覚める。
10年間の会社勤めの後、写真家、齋藤康一氏に師事し、4年間の助手生活を経てフリーに。
雑誌等の人物撮影、カメラ雑誌での新機種インプレッション記事やハウツー記事の執筆、カメラ教室の講師等を担当している。