Mレンズの実力
LEICA SUMMARIT M f2.4/75mm
From Leica Style Magazine Vol.21
中望遠と言ってもそれほど画角は狭くなく、視線の延長として使えるのが75㎜レンズのいいところ。
ライカM (Typ 240)・f2.8・1/1500秒・ISO 200・WBオート・RAW
LEICA SUMMARIT-M f2.4/75mm
実用性の高い中望遠レンズ
フォトグラファー 河田一規
M型ライカユーザーで多いのが「広角や標準レンズは持っているけれど、M型用の中望遠レンズは1本も持っていない」というタイプの人だ。レンジファインダーを採用するM型ライカはレンズを交換してもファインダー倍率は常に一定だから、望遠になればなるほどファインダーフレームが小さくなり、中望遠レンズはあまり使いやすくないというのがその理由だと思われるが、そういう人にもぜひ使ってもらいたいのが今回試用したズマリットM f2.4/75mmである。
ライカM (Typ 240)・f2.4・1/250秒・ISO 200・WBオート・RAW
M型ライカもライカM (Typ 240)ではライブビューが搭載されたので、望遠レンズ使用時はライブビューに切り換えることで前述のような使いにくさは完全に解消されたわけだが、それでも「M型ライカはレンジファインダーで使いたい」という硬派な人がまだまだ多いはず(何を隠そう自分もその一人だ)。そもそもTyp 240以外のライカM9やM8、そしてフィルムのM型ライカにはライブビューなんてない。そういう人にこそズマリットM f2.4/75mmがいいと思うのだ。その理由は大きく三つある。
その1は75mmであればブライトフレームが90mm用ほどには小さくないので、かなり実用性があるということ(このあたりのことは本項でアポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.を取り上げたときにも書いた)。
理由その2は開放値がF2.4と穏やかなので、レンジファインダーによるピント合わせもかなり楽ということ。筆者はズミルックスやアポ・ズミクロンなどすべてのM型ライカ用75mmを使ったことがあるのだが、中でもズマリット75mmのピントの歩留まりの良さは最強である。
そして理由その3はライカレンズの中では比較的安価で手に入れやすいということ。もちろん、安いからと言って作りに手抜きは一切なく、鏡胴のクオリティは素晴らしいし、写りもかなり良質。このあたりの焦点距離だと絞り開放で使われることが多いはずだが、絞り開放でも合焦部分のシャープでキレのいい描写は掛け値なくライカクオリティのそれなのだ。
あと、これはすべての人に当てはまるわけではないけれど、M型ライカユーザーが多用する35mmレンズと組み合わせたときの相性がとってもよいことも個人的にはズマリット75mmを推す理由のひとつだ。メインレンズを35㎜にしたとき、90mmだとちょっと飛びすぎるけど、75mmだと35mmに対する画角変化がちょうどいいというわけ。今まで「ライカで望遠なんて」と思っていた人、ぜひ試してください。
軽量ながら高性能
前モデルのズマリット75mmに比べると開放F値が少し明るくなっただけではなく、最短撮影距離も70cmに短縮されて格段に使いやすくなっている。4群6枚のレンズ構成のうち、4枚は異常部分分散ガラス、さらにそのうちの2枚は高屈折ガラスが使われるなど、光学的にも非常に凝っている。
※ライカズマリットM f2.4/75mmの販売は終了しました。
TECHNICAL DATA ライカズマリットM f2.4/75mm
画角
画角 | 32° |
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光学系
レンズ構成 | 4群6枚 |
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撮影設定
撮影距離 | 0.7mm〜∞ |
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目盛り | メートル及びフィート表示 |
絞り
設定方式 | クリックストップ (1/2 ステップ) |
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最小絞り | F16 |
絞り枚数 | 11枚 |
その他
レンズマウント | すばやい着脱が可能なライカMバヨネット、 デジタルMカメラ識別6ビット・コード付き |
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フィルターサイズ | E46 |
レンズフード | 金属 |
本体仕上げ | ブラック、シルバー |
寸法・質量
先端からバヨネットフランジまでの長さ | 約 60.5mm |
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最大径 | 約 55mm |
重量 | 約 325g |
フォトグラファー 河田 一規 (かわだ かずのり)
1961年横浜市生まれ。
小学3年生の頃、父親の二眼レフを持ち出し写真に目覚める。
10年間の会社勤めの後、写真家、齋藤康一氏に師事し、4年間の助手生活を経てフリーに。
雑誌等の人物撮影、カメラ雑誌での新機種インプレッション記事やハウツー記事の執筆、カメラ教室の講師等を担当している。