ライカM11モノクローム
First Impression
2012年に世界で唯一のモノクローム撮影専用デジタルカメラ「ライカMモノクローム」が誕生してから11年を経て、およそ70年の歴史を誇るライカのレンジファインダーカメラの伝統を受け継ぐ新機種として「ライカM11モノクローム」が登場しました。モノクローム撮影専用のM型デジタルカメラとしては4機種目となる「ライカM11モノクローム」は、モノクローム撮影専用の撮像素子を搭載したユニークなデジタルカメラで、光と影の明暗だけで描く、という写真撮影の本質を存分に味わうことができるカメラです。
このモノクローム撮影専用の撮像素子は、新世代のM型カメラ用として開発されたトリプルレゾリューション技術を取り入れた35mmフルサイズセンサーで、非常に高画質なモノクロ写真を撮影することができます。さらに、ISO125~200000という広い感度域との組み合わせにより、撮影時にクリエイティビティを自由に発揮できます。撮影が難しい光の状況下においてもディテールまできわめて鮮鋭で自然な解像感の画像が得られるほか、高感度撮影時にはノイズを抑えて美しい描写を実現します。
今回は「ライカM11モノクローム」の描写性能を早速試してみようと「ライカ ズミルックスM f1.4/28mm ASPH.」と「ライカ アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」を携えて、ある休日の風景を撮影してみました。
その作例をいくつか紹介します。
使用機材:
「ライカM11モノクローム」「ライカ ズミルックスM f1.4/28mm ASPH.」「ライカ アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F5.6・1/1250秒・ISO125・-0.7EV
暖かい陽射しを感じて空を見上げると、雲のない空に一機の飛行機が飛んでくるのが見えた。
写真を意味する“photograph”の語源は、“photo(光)”と“graph(書くこと)”に由来するんだったなと思い浮かべながら、青空と言う名のキャンバス(フレーム)の中に光と影を意識しながら美しい画を切り撮ってみる。
情報量の少ない被写体をどうフレーミングして表現するか、モノクローム撮影専用カメラ「ライカM11モノクローム」の繊細でありながら大胆なトーンの表現力は、撮影欲をかりたててくれる。
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F11・1/500秒・ISO125・-1.7EV
のんびり道を歩いていると、燦燦と降り注ぐ太陽の光に照らされて、春の訪れを感じさせる群生した野花が一帯の枯草の中に浮かび上がっているのが目に留まった。その力強く咲き誇る様子を表現したいと「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」を組み合わせて撮影。
背後の枯草の暗部のディテールも潰れる事なく、群生する野花のハイライトの立ち上がりが良く浮き出ていることから「ライカM11モノクローム」のダイナミックレンジが優れている事がわかる。
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F8・1/1000秒・ISO6400・-1.7EV
涼し気な風が通り抜ける太陽光が遮られた木陰。風に吹かれて動く枯葉の階調を表現したくて、F8 ISO6400で切り撮った。
「ライカM11モノクローム」に搭載したモノクローム撮影専用の裏面照射型CMOSセンサーは、高感度でもそれぞれの葉の質感の表現を可能にし、ノイズも上手くコントロールされている印象を受けた。
ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/28 mm ASPH.
F1.4・1/16000秒・ISO125・-1.3EV
見渡す限り広がる広い野原の中で、その存在をアピールするかのように生えている植物を発見したので「ライカM11モノクローム」の電子シャッター1/16000秒を使用し、「ズミルックスM f1.4/28mm ASPH.」の絞り開放で、背景との距離を意識して撮影。
ライカらしいボケ味を生かした撮影は、暗闇で絞りを開放にして撮影を楽しむ事もできるし、日中に絞り開放での撮影も容易に楽しむことができる。
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F8・1/1500秒・ISO125・-1.7EV
普段は通り過ぎてしまっている見慣れた風景も、モノクローム撮影をするという視点で歩いていたこの日は、鉄橋の柱のハイライトが際立つ様子が気になって「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」で切り撮ってみた。
モノクローム撮影は、カラーでの写真撮影とは違うフレーミングで、光と影を意識しながら撮影することで、普段とは違った景色や撮影の楽しみを体験できる。
ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/28 mm ASPH.
F8・1/250秒・ISO125・-1.3EV
「ライカM11モノクローム」の特筆すべきことは、15段階というダイナミックレンジの広さと6000万画素の35mmフルサイズ裏面照射型CMOSセンサーとの組み合わせによる描写性能。その描写を試してみたくて、川の向こう側の緩やかな上り坂とその奥の公園を「ズミルックスM f1.4/28mm ASPH.」で撮影。
撮影の際には気づかなかったが、画像データを拡大してみると、右奥の階段の上にのんびりと景色を眺める男性の様子が確認できた。解像度と階調表現の優れた写真では、拡大した画像のあちこちを眺めて新しい発見を探したくなる。
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F8・1/5000秒・ISO125・-1.7EV
埼玉県の彩湖。強風で荒く波打つ水面の様子を橋の上から解像力の極めて高い「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」で撮影。
画面右下に写るブイのような物体に強風に煽られた波が打ち付ける様子や、ブイの裏側の一部分だけ波が静寂を取り戻している様子がしっかりと確認できることは「ライカM11モノクローム」の暗部の表現力が高いことを表している。
ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F5.6・1/750秒・ISO125・-1EV
日に日に気温も高くなり、ウォータースポーツのシーズン到来を感じる休日の午後。強い風が撮影には少し気になったが、ウィンドサーフィンを楽しむ2人には好条件のようで、シンクロ率の高い動きが美しい。
拡大した時の質感や階調表現を見てみたくて「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」で撮影。実際に拡大して確認してみると、ウェットスーツやヘルメットなどの階調もしっかりと写しだしていた。
ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/28 mm ASPH.
F11・1/20秒・ISO6400・-1.3EV
すっかりと日も暮れて、あたりの視界はほぼゼロに近いような時間帯、何かの生産工場なのか、暗闇にうっすらと浮かび上がる建物に遭遇。「ライカM11モノクローム」の夜間の撮影を試すべく、三脚を使用し、「ズミルックスM f1.4/28mm ASPH.」で撮影。
人間の目では確認できないような工場らしき建物の存在感を、細かな階調でのモノクロームの世界感で切り撮ることができた。
今回の撮影を終えて、「ライカM11モノクローム」のファインダーから見えるモノクロームの世界は、何度でも撮影してみたいと思わせるのに十分な内容だった。今回搭載された256GBの内蔵メモリーや1日中撮影しても余力を残したバッテリーにより安心して撮影を楽しむことができるし、解像度がアップした背面液晶パネルはプレビューでも見やすかった。
「ライカM11」と同様に、センサーダイレクトでの測光も申し分なく、状況に応じてはハイライト重点の測光方法も活用できると感じた。モノクローム撮影専用カメラの「ライカM11モノクローム」はライカが誇る最新デジタルカメラであり、白から黒までの階調表現だけで撮り手を楽しませてくれる1台であることに間違いはない。是非このモノクローム撮影専用カメラが創り出すモノクロームの世界観をプリントでも確認していただきたい。
Photo by Leica Camera Japan Product Trainer
光と影で描く
ライカのモノクローム撮影専用機誕生から11年の時を経て誕生した「ライカM11モノクローム」。裏面照射型CMOSセンサーとISO 125~200,000 という広い感度域との組み合わせにより、他の追随を許さない繊細なディテールの表現力を誇ります。
モノクローム写真という表現手法に情熱を注ぐすべての人へ ── もっと自由に、いっそう軽やかに クリエイティビティを発揮できる撮影体験への扉を開くとともに、白と黒が織り成すイメージクオリティを新たなレベルへと進化させます。