Everyday Carry
日々のルーティーンにライカを
ー 鈴木 誠 ー


鈴木誠の“Everyday Carry”



ライカの新製品やブランドについて取材するようになってから15年が経ちます。もともとカメラに縁がなく“ライカ”という名前すら知らなかった私ですが、カメラ専門誌の編集記者として業界を知るにつれ、それがいかに特別な響きかを知りました。


縁あってドイツのライカ本社を訪れることも何度か。100年前にライカが生まれた街を歩きながら、ライカの「今」とともに、なぜライカのように革新的な小型カメラが誕生したのか。なぜそのような製品を生み出せる会社だったのか。そんな足跡を探しています。


時は流れて2024年。新卒からずっと勤めていた会社を退職し、しばしの夏休みと思いフリーライターという生活に漕ぎ出しました。ここではそんな日々における「ライカQ3」の活躍ぶりをお伝えします。


■Day1:ライターの仕事道具として


仕事で写真を撮るカメラはライカQ3だけ。2023年6月の発売初日から愛用しています。Qシリーズはその万能性から“スイスアーミーナイフのような”とも形容されます。


仕事の基本セットはMacBook ProとライカQ3。ノートパソコン用のスリングバッグに収まります。



それまで使ってきたライカMデジタルは「カメラである前にライカ」という感じで、そのカメラやレンズに撮影状況を合わせるようなところがありました。しかし新顔のQシリーズは、ライカに期待されるシンプルでソリッドな道具感を継承しつつ、デジタルカメラとしてモダナイズ。いわば「カメラでありライカ」になりました。


特にWebメディアではライター自身が写真を撮ることが多いため、イベント取材、インタビュー撮影、ブツ撮りと、ライカQ3は活躍しています。


ガジェット系レビュー記事などでの撮影例。写真のプロではない私でも、質感の高い写真が撮れます。



ライカ取材時の雑感いろいろ。上2枚はドイツ本社、下2枚はポルトガルの第二工場、中央2枚はその50周年記念式典のディナー会場となったポルトのボルサ宮にて。



この万能ぶりを支えるのは「ダイナミックレンジの広い6,000万画素フルサイズセンサー」と「中望遠までのクロップに耐える高性能な28mmレンズ」です。最新の写真編集ソフトを組み合わせれば、とうてい単焦点コンパクトカメラで撮ったとは思えないような仕上がりを引き出せます。レンズが抜かりなく高性能だからこそ、クロップ(トリミング)前提での撮影も実用に耐えるのでしょう。


新たにUSB Type-C端子を搭載したライカQ3は、最新のデジタルデバイスとも好相性。充電とデータ転送の両方に対応するUSB Type-Cケーブルを持っておけば、モバイルバッテリーをiPhoneやアクションカムと共用したり、MacBook Proと繋いで撮影データを高速に転送できます。泊まりがけの出張でもない限り、電源アダプターを持ち歩くこともなくなりました。


■Day2:趣味のドライブのお供として


コロナ禍の足音が聞こえはじめた2020年の春、人生初のクルマ生活をはじめました。最初こそ安全第一のコンパクトカーでおそるおそる運転を練習していたものの、2年ぐらい経つと欲が出てきて、今ではマニュアル車の運転を楽しんでいます。


ここで懺悔をひとつ。私、ライカほどのカメラを持っていながら、普段は写真を撮りに出ることがほとんどありません。しかしドライブに出かけると、行った先で写真を撮れるという一挙両得に気付いたのです。


クルマだから荷物が多くてもいいのに、むしろ小さめのバッグを選んでしまう不思議があります。



ドライブ帰りの楽しみは、サービスエリアで休憩しながら写真をSNSに投稿することです。スマホアプリ「Leica FOTOS」からバッグの中のライカQ3をリモートで起動し、お気に入りの写真を数枚、DNGのままiPhoneに吸い上げます。


最新世代のライカは無線通信も速くなり、容量の大きなDNGデータの転送も苦になりません。せっかくの良いカメラですから、JPEGだけといわずDNGから質感の高い写真を仕上げて、そのポテンシャルを発揮させたいのです。最新のライカはスマホアプリとのスマートな連携も見逃せません。


画角いっぱいを使ってワイド感のある写真に。



90mm相当にして、中望遠のような雰囲気を演出。



■Day3:写りに満足。だから明日も連れ出したい


究極的には、良い光景さえあれば、手元のスマホで撮影しても「良い写真」になります。しかし、そこでひと手間をかけてカメラ、とりわけ多少の背伸びが必要なライカを使ってみると、あとで大きな画面で見返したときに必ずや「使って良かった」と思えることでしょう。


私にとってライカQ3はすでに使い慣れたカメラですが、今でもパソコンにデータを吸い上げてセレクトするたびに、期待以上の精細かつ階調豊かな写りに喜びを感じています。


単に仕事をこなせるだけでなく、手触りや期待以上の写りで心も満たしてくれる1台。時には「良いカメラをお使いですね」「わあ、ライカで撮ってもらっちゃった!」というポジティブな気持ちまで周囲に漂わせてしまうカメラ。私にとってこれを超える存在は、どうやら次のライカQしかなさそうです。


現在研究しているのは、ライカQ3+アクションカムという取材スタイル。この状態で首から提げていると、写真と一緒に映像付きのボイスメモが残せるため、より臨場感のある記事が書けます。書けるはずです。きっと。



使用機材
ライカQ3





鈴木誠 / Makoto Suzuki プロフィール

ライター。2009年から2024年までカメラ専門ニュースサイトの編集部に在籍。新製品ニュースや機材レビューの執筆を行う傍ら、老舗カメラ雑誌やライフスタイル誌にライカの話題を寄稿。フリーライターとして独立後は、趣味を活かして楽器などの専門誌でも取材・執筆を行う。日本カメラ財団「日本の歴史的カメラ」審査委員。YouTubeチャンネル「鈴木誠のカメラ自由研究」(https://www.youtube.com/@suzukimakoto)