LEICA Q3 MONOCHROM

Impression Report by Leica Store Staff

Qシリーズ初のモノクローム撮影専用デジタルカメラとして2020年11月に発売された「ライカQ2モノクローム」から約5年、その後継モデルとして、「ライカQ3モノクローム」が発売されました。

「ライカQ3」をベースとしたモノクローム撮影専用デジタルカメラですから、最新の6000万画素モノクローム撮影専用センサー搭載はもちろん、576万ドットの新しいEVFやチルト液晶を搭載し、USB-Cでの充電、給電も可能と、完成度の高かった先代モデルからさらに使いやすくなっています。

私は以前、「ライカM11モノクローム」と「ライカQ2モノクローム」の2台を持って旅行へ行った際に、MとQを2台持ちする事のメリットを実感することができましたが、今回クラシックシリーズのMレンズ2本の記事を書くために旅行を計画していたところ、幸運にも「ライカQ3モノクローム」を試す機会を得られたため、今回は「ライカQ2モノクローム」や「ライカM11モノクローム」との違いも含めてレビューをしたいと思います。

旅行先は当初東北地方の予定で既に飛行機も予約していたのですが、10年ほど前に球面のライカ ズミルックス35mmと、第三世代のズミルックス50mmを持ってイタリアのベネチアへ旅行したことがあり、偶然にも同じレンズ構成のMレンズ2本を持って旅行に行くのなら…と悩んだ末、2月が旅行のローシーズンだったことも決め手となり、出発の1週間前のタイミングで目的地を東北地方からベネチアに変更しました。

仕事を終えた足でそのまま羽田へ向かい、深夜便でドバイを経由して正午過ぎに到着したベネチアは残念な事に夜まで雨の予報でした。
移動の疲れもあり、せめてホテルまでは晴れていてほしかったのですが、防塵防滴仕様の「ライカQ3モノクローム」の特性を活かすには良い機会と頭を切り替え、ホテルにチェックインして仮眠を取った後、夕方から傘を持たずに撮影に出かけました。

F1.7・1/125秒・ISO250・-2.0EV
F1.7・1/125秒・ISO250・-2.0EV

ホテルを出て島の中心部に向かう途中、奥に見える水上バス乗り場の手前で船を待っている男性が目に留まったので、工事用の足場の支柱が中央に来る位置に立ち、奥の方にピントを合わせ、絞り開放でシャッターを切りました。
雨脚も強くレンズに沢山の雨粒がついていたせいか、ランプの光が滲むように写りこみましたが、フィルターを付けて撮影したような面白い効果が得られました。

F5.6・1/125秒・ISO32000・-1.0EV F5.6・1/125秒・ISO32000・-1.0EV

広場にある大きな建物の下が通路になっていたので、気休め程度の雨宿りをしつつ通路の奥を撮影してみました。
ISOオートの設定で32000まで上がっていましたが十分許容できる画質で、「ライカQ2モノクローム」から高感度特性が大きく進化していると感じました。

以前「ライカQ2モノクローム」を使用した際、ISO6400でノイズが少し気になったので、ISOオートの上限を3200に設定して撮影していたのですが、「ライカQ3モノクローム」は「ライカM11モノクローム」程の高感度特性ではないようには感じましたが、ストリートスナップなどであればISO50000までは許容できるレベルでした。
ISO3200からISO50000だとシャッタースピードで言えば4段分の違いですから、特に夜のストリートスナップが好きな方にとっては大きなメリットになると思います。

ただ、当然と言えば当然なのですが、高感度に強いとはいえ、光が殆どないような場所でAFが常に正確に動作するわけではありません。「暗い場所でも撮れるぞ!」という気持ちが先行しすぎたために、そこに気づくまでに何枚かピントが合わず失敗をしました。暗所での撮影時はMFも活用すると良いと思います。

F2.0・1/125秒・ISO2000・-1.3EVF2.0・1/125秒・ISO2000・-1.3EV

さらに進んでいくと大きな水たまりの向こうにアーチが見えたので、水面の反射を狙った撮影をしてみようと思い、背面液晶を水平に向け、かがんだ状態で水面ギリギリまでカメラを下げて撮影してみました。
雨も降っていたためM型だとちょっと躊躇してしまう場面でしたが、防塵防滴仕様でチルト液晶も備えた「ライカQ3モノクローム」だったので、安心して撮影をする事ができました。

F1.7・1/125秒・ISO250・-1.7EVF1.7・1/125秒・ISO250・-1.7EV

F2.0・1/125秒・ISO2500・-1.3EVF2.0・1/125秒・ISO2500・-1.3EV

上の2枚は島の中央部にあるリアルト橋に近い場所で撮影しました。

「ライカQ3モノクローム」には先代のQ2シリーズと同じ「ライカ ズミルックスf1.7/28 ASPH.」が搭載されているからか、個人的に「ライカQ2モノクローム」同様の硬調な描写だと感じました。ディスプレイされている仮面や、傘を差した男性の背後にある壁の質感描写からもそれが見て取れます。
ストリートスナップの撮影や、岩肌、金属などの無機質な物をモノクロームで撮影するのであれば、「ライカQ3モノクローム」の性能を存分に発揮できるのではないでしょうか。

F2.8・1/125秒・ISO6400・-1.0EVF2.8・1/125秒・ISO6400・-1.0EV

ずぶ濡れになりながらサンマルコ広場に到着して散策していたところ、濡れた石畳を照らす街灯の明かりが綺麗だったので、街灯にピントを合わせ人物が横切るのを待ちシャッターを切りました。
こちらの画像はL-DNG+L-JPG設定で撮影したJPGデータなのですが、DNGを編集する前提でかなりアンダーに撮影していた為、編集ソフトで露出とハイライトを若干調整しています。

JPG画像にはノイズリダクションがかかるのですが、強度を3段階で選ぶことができるようになっており、「ライカM11モノクローム」同様、DNGに比べノイズの少ない画像になります。高感度撮影時、よりノイズの少ない画像が欲しいときはJPGで撮るのもおすすめです。
JPG形式のファイルは保存する毎に画質が劣化しますが、6000万画素のモノクローム専用センサーで記録された画像は1度の上書き程度ではまず気になりません。

個人的に、ノイズリダクション「低」の設定だとライカM11モノクロームのJPG画像よりややノイズが多いと感じたので、「中」や「高」を選びつつ、LEICA LOOKの項目からシャープネスの強度設定でバランスを取ると良いのではないかと思いました。

また、LEICA LOOKではシャープネスだけでなくコントラストやハイライト、シャドウのトーンの調整も可能なため、シーン毎に調整した設定をユーザープロファイルに複数登録しておけば、PCでの画像編集をせずとも自分らしい写真に仕上げることができそうです。

F2.8・1/125秒・ISO6400・-1.3EVF2.8・1/125秒・ISO6400・-1.3EV

F1.7・1/125秒・ISO3200・-0.3EVF1.7・1/125秒・ISO3200・-0.3EV

F1.7・1/125秒・ISO1000・-1.3EVF1.7・1/125秒・ISO1000・-1.3EV

前を歩く犬と飼い主を撮ろうとカメラを構え、同じ速度で歩きながらAFでピントを合わせてシャッターを切ろうと思ったところ、右側のお店から女性が出てきたので、一緒に構図に収めました。

「ライカQ3モノクローム」のAFは他のQ3シリーズと違い、コントラストAF方式を採用しています。
一般的には像面位相差AFに比べ、動いている被写体を追うのが苦手と言われますが、モノクローム専用デジタルカメラで素早く動く被写体を撮る機会はあまりないと思いますし、余程暗い場所でAFを使用するのでもない限り、特に問題なく使用できると思います。

F1.7・1/125秒・ISO4000・-1.3EVF1.7・1/125秒・ISO4000・-1.3EV

F1.7・1/125秒・ISO5000・-1.3EVF1.7・1/125秒・ISO5000・-1.3EV

F1.7・1/500秒・ISO200・-0.3EVF1.7・1/500秒・ISO200・-0.3EV

旅行中、早朝から昼過ぎまで雨という日が続きましたが、滞在4日目にしてようやく雨が降らない朝を迎えることができました。宿泊しているホテルの窓から外を見ると街中に濃い霧が出ていたので、「これは撮らなければ」と思い、ホテルの朝食が始まる前でしたが、カメラを持ち出してすぐに出かけました。

ホテルを出てカンナレージョ地区を少し歩いたところで、犬を散歩している男性を見つけました。近寄ってから撮りたかったのですが、いつ横の小道に消えてしまうかも分からなかったので、素早く撮影し、帰国後にDNG画像をトリミングして調整しました。
画素数を確認したところ約3500万画素でしたから、もっと大胆に切り取ることも可能です。

F2.8・1/250秒・ISO200・-0.3EVF2.8・1/250秒・ISO200・-0.3EV

F2.8・1/1000秒・ISO200・-1.3EVF2.8・1/1000秒・ISO200・-1.3EV

細い道を抜けたところで、霧の出ているベネチアを訪れたらぜひ撮りたいと思っていた光景が目の前に広がっていたので、カメラを構えて橋を渡る人が来るのを待ちました。しばらくして左岸から歩いてきた男性が橋の中央で立ち止まった時にちょうどカモメが飛んできたため、絶好のタイミングでシャッターを切ることができました。
手前の橋の中央から撮影したため、約2300万画素までトリミングしています。

モノクローム撮影専用センサーの性能をお伝えする為、上の写真をさらにトリミングし、構図を縦に変えて別の写真にしてみました。
ピクセル数を確認すると1246×1872、約233万画素だったので、600万画素相当になる90mmのデジタルズームよりもさらにズームしていることになります。約233万画素というのが実際にどれ位の焦点距離になるのか試しにAIに聞いてみたところ、難しい計算式と一緒に「約144mm相当」と返答がきました。
拡大して見てもボートや建物のディテールまでしっかり描写されていますし、SNSやWEB上に作品として載せるには十分な解像度だと思いました。


今回の旅行は昼過ぎまで強い雨が降る日が続いたのですが、「ライカQ3モノクローム」を持っていたおかげで、午前中から雨を気にせずに積極的に撮影を楽しむ事ができました。
2本のMレンズの記事を書く必要もあった為、雨の中で時々M型カメラに持ち替えて撮影もしたのですが、写真を見返してみると、雨の降る時間帯にMで撮影した写真は雨宿りの出来るアーケード等から撮影したものが多く、撮影枚数も少なかったので、「ライカQ3モノクローム」を持っていなければ旅行の楽しさも半減していたかもしれません。

AF対応の28mmの明るい広角レンズに、高感度に強くトリミングの自由度も高いモノクローム撮影専用センサーを搭載し、防塵防滴仕様で悪天候にも強い「ライカQ3モノクローム」は、カラー写真が撮れない事を除けば、これ1台でほとんどの撮影シーンをカバーできるのではないかと思わせてくれる性能でした。

カラー撮影の出来るカメラをお持ちで、これから本格的にモノクローム撮影を楽しみたいと考えている方に「ライカQ3モノクローム」はお勧めの1台です。




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