ライカM EV1

Impression Report by Mina Daimon

手持ちのライカMシステムはライカM11-PとライカM10モノクローム。それにレンズが数本。これだけあれば十分だろう、と思う。一度に使えるカメラは限られているし、機能にも、もちろん画質にも満足している。特段新しいカメラが欲しいと思ってもいなかった。ところが思ってもみないことは度々起こるもので、今わたしの手元にあるのがライカM EV1である。

「満足している」と言っておきながら、ライカM EV1がやってきてからというもの、このカメラばかり使用している。理由のひとつにまずその軽さがある。普段使用しているライカM11-P シルバーは約640gなので、ライカM EV1の約484gと比較すると、その差は文庫本一冊分程度の重さの約160g。普段からカメラバッグにはM型ライカと文庫本、両方入れているわたしにとってその差は大きい。

ライカM EV1との組み合わせで気に入っているレンズは、ライカ アポ・ズミクロンM f2/35 ASPH.と ノクティルックスM f1.2/50 ASPH. の2本である。ライカ アポ・ズミクロンM f2/35 ASPH.を装着するとその質量は約804g。コンパクトなシステムであるライカQ3 43が約793gなので、ほぼ同重量といってもいいだろう。レンズとのバランスの関係もあるだろうが、ライカ M EV1とアポ・ズミクロンM f2/35 ASPH.とのコンビのほうが軽く感じるほどだ。さすがにコンパクトカメラとは言い難いものの、軽快にスナップしたいときはこの組み合わせ一択である。

ライカ アポ・ズミクロンM f2/35 ASPH.を使用する利点は軽さとコンパクトネスのほかにもうひとつ。ライカM11-Pでは最短撮影距離(30cm)で撮影したい場合 、構造上の理由から背面液晶に切り替えなくてはならなかったが、ライカM EV1であれば ファインダーを覗いたまま撮影できるという点である。
クローズアップして撮りたい被写体といえば、テーブルフォトや植物。特に植物の撮影に関してはこれから春にかけての時期、ライカM EV1は大いに活躍 してくれるはずだ。フォーカスピーキングや拡大表示などのMFアシストがあるため、二重像合致のフォーカシングシステムでは撮影が困難であった桜のフォーカスもこのカメラであれば容易であることが想像できる。ボディ前面のファンクションレバーで1.3倍、ないしは1.8倍のクロップ機能を使用すれば、より撮りたいイメージに近づけることができるだろう。

ライカM EV1を使う理由のふたつめに、上でも述べたように、フォーカスピーキングや拡大表示などの快適なMFアシストがある点が挙げられる。正直なところ、勘を働かせて素早く撮ることのできる二重像合致式のほうが個人的には好きではあるものの、より正確なフォーカシングを求めるのであれば、ライカM EV1は非常に楽なのだ。

MFアシストがあることによって出番が増えたのが、ライカ ノクティルックスM f1.2/50 ASPH. である。絞り開放付近で撮影する場合、ライカM11-Pではピントのピークをつかみづらいことが多く、やむなく2段ほど絞って撮影することもあったが、ライカM EV1のMFアシストを使用すればピント位置は一目瞭然。逆光時でも不安なくフォーカシングが可能なので、シャッターを切った後にすぐさま撮影画像を背面液晶で確認するといった、野暮なマネをすることもない。

ライカM EV1を使用していて思うのは、カメラは道具にすぎない、ということ。それはM型ライカであっても同様で、これまでもベースプレートを省いて軽量化かつ充電を容易にし、ライカM EV1ではM型ライカの代名詞でもあった光学ファインダーを省き、スムーズなフォーカシングを実現した。それらは純粋にユーザーの声に応え、より良い写真を撮るために、より使いやすい道具であるための変化であると思っている。光学ファインダーのMとEVFのM、いずれの系譜も楽しみにしつつ、今後もライカMシステムを使い続けたい。改めてそう思わせるカメラである。


Photo by Mina Daimon



大門美奈 / Mina Daimon プロフィール

2013年よりデジタルライカを使用。以来、ライカMシステムやライカSLシステムを使用した作品制作を続けている。個展・グループ展多数開催。代表作に『浜』、ライカGINZA SIXで展示開催した『新ばし』、同じく写真集に『浜』(赤々舎)など。海外や日常のスナップのほか、日本の伝統美や陰影の表現を得意とする。

WEB:https://www.minadaimon.com/

Instagram:https://www.instagram.com/minadaimon/

 




快適なマニュアルフォーカスを実現する、初の電子ビューファインダー内蔵M型ライカ

「ライカM EV1」は、Mシステムの伝統的な価値観に電子ビューファインダー(EVF)の機能性を組み込んだモデルです。
視度補正機能と快適なMFアシストにより、正確なマニュアルフォーカスをサポートします。特に、被写界深度の浅い大口径のズミルックスレンズやノクティルックスレンズ、さらには超広角・望遠・マクロレンズを使用した撮影に最適です。


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