Leica SL2-S & NOCTILUX f1.2/50mm ASPH.
Impression Report by Leica Store Staff
ライカ製品を使いこなすライカスタッフが、ライカの人気モデルなどで実際に撮影してインプレッションをお届けする “Leica Staff Impression Report”。今回のライカスタッフレビューは、2021年に復刻された伝説的なレンズ「ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」とSLシステムの最新機種「ライカSL2-S」によるインプレッションをお伝えします。オールドレンズならではの味のある「ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」の複雑な描写を、裏面照射型センサーを搭載した「ライカSL2-S」が余すことなく再現した写真とともにご紹介します。
使用機材:「ライカSL2-S」「ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. ブラック」
木々の葉が日の光に照らされ、まるで小さな木の実が光の渦に包まれているようです。この一枚の写真だけでも十分に、「ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH.」が持つ唯一無二の描写を実感していただけるのではないかと思います。
「ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH .」を絞り開放で撮影した場合は、状況によっては渦を巻いたようなボケになることがあります。絞りをf2.8程度まで絞るとこの傾向は減少するので、被写体や撮影条件に応じて絞りを変えながら、1本のレンズで描写の変化を楽しむことができます。特にライカSL2-Sに搭載されている電子ビューファインダー「EyeResファインダー」は、絞りによる描写の変化をしっかりと確認しながら撮影することが出来るので、明るいMレンズとの組み合わせにおすすめです。
ライカSL2-SとノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. の相性
ライカSL2-Sは、最新の裏面照射型センサーを搭載しており、室内などの光量が少ない撮影シーンでも安定した描写が得られます。ハイライト部も白飛びせずに階調豊かに表現し、ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH. ならではの、薄い光のベールを帯びたような柔らかで繊細ながらも克明な描写で描き出します。
ライカSL2-Sの電子ビューファインダーは、反応が良く視認性も優れているので、被写体の動きを確認しながらチャンスを逃さずにシャッターを切ることができます。
ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. の描写
復刻版のノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. は、オールドレンズで生じやすい暗部のコントラスト低下が少なく、また不自然な像が浮き出ることもありません。ハイライト部も急激な白飛びが起きづらく、階調の再現性が豊かで発色も良いので、明暗差のある逆光などの厳しい光線状況下でもオールマイティーに活躍できるレンズだと実感できます。
ノクティルックス M f1.2/50mm ASPH. の特徴的な描写の1つに、境界線が滲み溶けるように柔らかい幻想的なボケが挙げられます。最新の設計でデザインされた現代のレンズに比べると低いコントラストになりますが、この特徴を活かすことで、まるで白昼夢を見ているような曖昧でリリカルな写真を楽しめます。
雑木林の隙間から差す木漏れ日に照らされた蜘蛛の糸を撮影した写真です。数あるミラーレスカメラの中でも非常に優秀なライカSL2-SのEyeResファインダー越しに、目を凝らしながらピントを合わせた繊細な蜘蛛の糸には、柔らかな光を纏いながら無色透明の光に内包された鮮やかな色彩を感じることが出来ます。絞りやカメラの角度を変えるだけで大きく描写が変わり、現代のレンズのように安定した描写ではありませんが使いこなしたときの成果は他では得られないものがあります。ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. が歴史に名を残す銘玉とされる所以を十分に体感することができる、ライカユーザーなら一度は使っておきたいマスターピースと言っても過言ではありません。
今回のインプレッションレビューで試した「ライカSL2-S」と「ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH.」は、組み合わせたときのサイズのバランスが良く、レンジファインダーのライカMシリーズとは違った使いやすさがありました。それぞれの描写性能の相性も良くおすすめです。是非、Mマウントのレンズが積み上げた歴史の一遍を、最新のカメラシステムで触れてみてはいかがでしょうか。
Photo By Y
使用機材・商品ページ
写真撮影・動画制作共に優れた性能を発揮するミラーレスシステムカメラ「ライカSL2-S」は、先進技術を駆使してつくり上げた堅牢性の高いフルメタルのボディに、新開発の2400万画素の35mmフルサイズ裏面照射型(BSI)CMOSイメージセンサーを搭載し、静止画と動画の両方を高画質に撮影できる機能を凝縮したデジタルカメラです。
ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH. ブラック
歴史に名を残す銘玉がクラシックシリーズのラインアップとして復活復刻版の「ライカ ノクティルックスM f1.2/50mm ASPH.」は、1966年から1975年にかけて製造され、世界で初めて非球面レンズを採用したレンズとして注目を集めた「ライカ ノクティルックスM f1.2/50mm」をベースにしています。