ライカ表参道店テレサ・フレイタス写真展トークショー
イベントレポート
ライカ表参道店、ライカ京都店では現在、テレサ・フレイタスさんの写真展を開催しています。写真展開催にともない、テレサ・フレイタスさんを表参道店にお招きしてトークショーを行いました。今回はその内容をご紹介します。
―テレサ・フレイタスさんは、今回、日本では初個展になります。まずは、自己紹介と現在のプロジェクトについて教えてください。
皆さん、こんにちは。初めに、日本のライカギャラリーにお招きいただいたことに感謝いたします。日本で作品を展示できることは私にとって大きな名誉です。東京と京都で初めての展示を開催でき、とても嬉しく光栄に思っています。私はリスボンで生まれ、今も暮らしています。写真家として約10年活動していますが、旅行をテーマにしたこのプロジェクトに取り組み始めてからは約8年になります。
私は美術学校でファインアートを学びました。最初は絵画から始め、その後マルチメディアアート、デザインへと進みました。写真は当初の計画にはありませんでしたが、父がアマチュア写真家で、家族写真をたくさん撮っていたため、幼い頃から身近な存在でした。当時は撮影に付き合わされるのが大変でしたが、無意識のうちにその魅力に惹かれていたのだと思います。最初はポートレート写真から始め、その後スマートフォンで日常を撮影するようになり、写真を自分の原点である絵画に近づけられることに気づきました。
数年後、仕事で旅をする機会が増え、自由時間があれば各地を歩き回って撮影していました。この『Meeting Point』シリーズは、より大きなプロジェクト『Cinematica』の一部です。現実をわずかに まとい直し、より曖昧で詩的な世界へ導くという考えから生まれました。2018年頃から各地を記録し始め、現実を変えるのではなく、色彩によって世界を描き直すことを試みてきました。
―テレサさん自身が直感的に感じられる色が、まずインフォメーションとして自分の中に入っているように感じました。その色へのアプローチ、現実と虚構の間のような、この色の表現に影響を与えたものは何でしょう?
このプロジェクトは、私の色彩への長年の憧れから生まれました。幼い頃から絵本の色や背景に魅了されていました。また、兄たちの影響でドラゴンボールなどのアニメを観て育ちました。任天堂のゲームも大好きで、その鮮やかで遊び心のある色彩に強く惹かれました。絵画を学ぶ中でも色彩理論や色の対比、画家たちの表現に夢中になりました。
私は非常に直感的に色を捉えています。写真を撮るときに理屈で考えることはあまりありませんね。まず必要なのは色、次に光、そして線です。曇りの日はほとんど撮影しません。色が本来の力を発揮するには光が必要ですから。そして構図の中の線や形も非常に重要な要素ですね。
―構図や色以外の、写真を撮るときご自身の根底に流れる哲学的なものはありますか?
こうした要素を常に探しているため、異なる場所でも似たパターンが自然と現れます。キュレーターとの作業を通じて、自分では気づかなかったつながりも発見しました。重要なのは被写体そのものではなく、写真が与える感覚や記憶との結びつきだと思っています。
私の感性は、アニメやリスボンの街、そして子ども時代の体験によって形づくられました。祖父は美術品のコレクターで、私はまるで美術館のような家で育ちました。その環境が今の私に大きな影響を与えています。
―機材へのこだわりですとか、撮影後、どのような編集をして最終的な作品を仕上げていますか?
機材は直感を支えるための道具です。現在はLeica Q3 43やQ3、SL3を使っています。特に望遠レンズは、前景・中景・後景を圧縮して平面的な表現を作り出すのに役立っています。
編集作業も撮影と同じくらい重要です。ただし手順は意外とシンプルです。シャドウとハイライトを調整し、それぞれの色について色相・彩度・輝度を細かく調整します。デジタル加工で何かを加えたり消したりすることはありません。
私がライカを好む理由のひとつは色再現性とダイナミックレンジです。ハイライトやシャドウの情報をしっかり保持してくれるため、自分の表現に必要な調整が可能になります。ただし、技術的な完璧さよりも情感ある存在感を重視しています。
Q&A
―では、ここからQ&Aに入ります。ご質問ある方どうぞ。
―ギャラリーに入って、最初、水彩画が並んでいるような印象を受けました。特別な場所を狙って作品を撮りに行っていますか?
作品を見て『本当に実在する場所なのか』と疑問を持っていただけたのなら嬉しいことです。実際には本物の場所、本物の人々、本物の色ですが、それらに新しい価値を与え、水彩画や絵画のような世界に近づけています。
―テレサさんにとって、言葉とはどれくらい大切なものなのでしょうか?
『Cinematica』では言葉よりも感覚を重視しています。しかし現在取り組んでいるドキュメンタリー作品『Flower(s)』は詩から生まれました。他には、モロッコで出会った詩や、日本では松尾芭蕉の言葉から大きなインスピレーションを受けています。
―テレサさんは写真を撮るとき、時間というものをどのように意識していらっしゃいますか?
写真は時間を切り取るものですが、このシリーズでは時間そのものはあまり重要ではないと感じています。私が大切にしているのは、写真を見た瞬間に生まれる感情や感覚ですね。
―皆さま、ご質問ありがとうございました。
最後に、テレサさんが現在取り組んでいるプロジェクトについて、ご紹介いただきたいと思います。
『Flower(s)』は、植物学者である母の影響から生まれたプロジェクトです。花を単なる装飾ではなく、人々の暮らしや文化と結びついた存在として捉えています。
このプロジェクトをモノクロで撮影しているのは、色そのものを主題にしたくないからです。花よりも、それを育てる人々や労働、文化に目を向けてほしいと考えています。
このプロジェクトは本という形で存在することが重要でした。花のコレクションとしてシリーズ化し、それぞれに特別なプリントや香り、そして山形で作られた風呂敷などを組み合わせています。
―テレサさん、貴重なお話ありがとうございました。
ありがとうございました。
写真展概要
| 作家: | テレサ・フレイタス |
| タイトル: | Meeting Point |
| 会期・会場: |
ライカギャラリー表参道 (ライカ表参道店2F) >>写真展詳細はこちら 2026年4月2日(木) - 2026年7月26日(日) ※状況により会期・時間が変更になる場合がございます。 東京都渋谷区神宮前5-16-15 月曜定休 Tel. 03-6631-9970 |
| タイトル: | Colour Matter(s) |
| 会期・会場: |
ライカギャラリー京都 (ライカ京都店2F) >>写真展詳細はこちら 2026年5月16日(土) - 2026年7月30日(木) ※状況により会期・時間が変更になる場合がございます。 京都府京都市東山区祇園町南側570-120 2F 月曜定休 Tel. 075-532-0320 |
テレサ・フレイタス / Teresa Freitas
テレサ・フレイタス(1990年- リスボン生まれ)は、ストリートやドキュメンタリー、ファインアートといった領域を横断しながら制作を行う、ポルトガル出身の写真家・カラーリスト。色彩を探究し続ける実践者として、オンライン講座やワークショップを通じ、ストリートフォトグラフィーにおける色の活かし方や表現の可能性について発信している。Porsche、Netflix、Issey Miyake、Pantoneなど、これまでに数々の国内外ブランドとのコラボレーションを重ねるほか2022年初頭にはソウル中心部で初の個展を開催し、3か月間で11万人を超える来場者を記録している。
公式サイト : https://www.teresacfreitas.com
Instagram : @teresacfreitas
さまざまな光の条件下でも卓越した描写性を発揮
「ライカ ズミルックス f1.7/28mm ASPH.」搭載のフルサイズセンサーを搭載したコンパクトなデジタルカメラ。
ストリート、建築物のディテール、息をのむような美しい風景とさまざまな撮影シーンで優れたパフォーマンスを発揮します。28mmから90mmまでデジタルフレームの選択が可能なことにより、さまざまな視点から被写体を捉える高い柔軟性を備えています。
人の自然な視野に近い焦点距離のレンズ搭載
「最高峰の光学性能を誇るライカアポレンズ「ライカ アポ・ズミクロン f2/43mm ASPH.」搭載のライカQシリーズに新たな息吹をもたらすコンパクトカメラ。
人間の視野と非常に近く、被写体を自然な印象で捉えます。43mmから150mmまでのデジタルフレーム選択が可能なことにより、表現力豊かなポートレート撮影や、ストリート、旅先、イベントでの撮影にも最適です。
インスピレーションの源であり、信頼できるパートナーとなる
最先端のテクノロジーとユーザーフレンドリーなデザイン、150年以上にわたるライカブランドの代名詞・クラフツマンシップを見事に融合させた、「ライカSL3」。ライカとともに作り上げるクリエイティブプロセスを存分にご堪能いただけます。











