ライカM11モノクローム

Impression Report by Leica Store Staff



「ライカM10モノクローム」発売から3年、11年目に突入したモノクロームシリーズを受け継ぐモデルとして、モノクローム撮影に完全に特化した第4世代のM型カメラ「ライカM11モノクローム」が発売されました。

「ライカM10モノクローム」のレビュー記事を書く為に機材を借りて撮影したのをきっかけに、その描写性能に惹かれ、物欲を抑えきれず初代「ライカMモノクローム」から「ライカM10モノクローム」へ買い替えた私。

それから2年、「ライカM11モノクローム」の誕生は、すでに完成度の高かった「ライカM10モノクローム」からどう変わったのか大変興味があり、早く実際に撮影して確認してみたい、とウズウズしていたところ、今回レビュー記事を書く機会を得たので、愛機との違いを探るべく、旅行に持ち出しました。

撮影目的で国内を旅行する際、非日常的な景色を求めて目的地を決める私。今回も「いつかモノクローム撮影専用機で撮影してみたい」と思っていた長崎県の無人島と、岩手県にあるかつて秘境と呼ばれていた峡谷を旅の目的地と決め、「ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.」、「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」、「アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.」の3本を持って出かけました。


使用機材:
ライカM11モノクローム」 「ライカ ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.」 「ライカ アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」 「ライカ アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.




まずは長崎県の無人島へ



ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F8・1/2000秒・ISO125・-0.7EV


飛行機で福岡へ向かい、博多港を深夜に出港し、朝の4時半過ぎに小値賀島に到着。そこから無人島行きの船が来るまでターミナルで仮眠し、7時半に出航の船で目的の野崎島へ向かいました。 野崎島は集落跡や世界遺産の構成資産に含まれている教会など、沢山の被写体がありましたが、とりわけ目を引いたのが、サバンナのような地形が広がる地区でした。赤土と緑に覆われた大地はカラーでの撮影も素敵ですが、独特なシルエットの樹木が点在する風景は、モノクローム撮影だからこその表現を十分に楽しむことができました。





ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.
F11・1/400秒・ISO125・-0.3EV


火口跡が見える展望台から崖下を望むと、「ゴジラの尻尾」と呼ばれている岩が見えたので、「アポ・ズミクロンM f2/50mm ASPH.」で撮影しました。6000万画素のセンサーの性能か、手前の小島の木の質感だけでなく、ゴジラの尻尾の後ろにある島の岩肌、さらには一番奥にある島の電柱や道路、建物までもが描写されていました。





ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.
F2.5・1/5500秒・ISO125・-0.3EV


ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.
F2.5・1/1600秒・ISO125・+0.3EV


随分前に初代の「ライカMモノクローム」と「アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.」で公園の枯れ木を撮った際、その描写に驚いた事があったのですが、地面に横たわる沢山の枯れ木を見て、ふとその時の事を思い出し、レンズを75mmに交換して撮影してみました。
今回の写真は殆どDNGファイルを編集しているのですが、上の2枚の枯れ木の写真だけは、JPG設定でコントラストを+2にして撮影した、JPG撮って出しの写真を掲載しています。「ライカ M11 モノクローム」にはフィルムモードの設定がないため、モノクロHCを選択する事はできないのですが、設定でコントラストを+2にすれば近いイメージになりました。





ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F11・1/1000秒・ISO125・-0.3EV


教会のある地区に向かう途中の坂道を登りきると、広大な景色と、砂浜で海水浴を楽しむ2人の旅行者が目に留まりました。
高所から「ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.」で切り撮りましたが、拡大すると砂浜にいる2人もしっかりと写っていました。6000万画素のセンサーを搭載した「ライカM11モノクローム」でギリギリ描写されていたので、鞄に入れていた4000万画素の「ライカM10モノクローム」では、流石に人物までは描写しきれなかっただろうなと思います。また、雲のディテールもしっかりと残っており、ハイライト側のトーンがより粘るようになっているように感じました。





ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/1000秒・ISO125・-0.3EV


ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/1000秒・ISO125・-0.3EV


ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F5.6・1/4000秒・ISO125・-0.3EV


教会の地区から港へ戻った後、サバンナでもう少し写真を撮りたいと思い、正午を過ぎて暑さも厳しさを増していましたが、再び坂道を登ってサバンナへ。
個人的に平面的な構図が好きなのですが、ちょうど遠くにいた鹿のシルエットと木々が良い配置だったので、絞り込んでシャッターを切りました。
遠くにポツンと写っている鹿がどれ程描写されているのかが気になったので、PCのモニターでドットが見える位のサイズまで拡大してみたところ、鹿の目のくぼみの部分や鼻が認識できるほど緻密に描写されていたことに驚きました。




15時の船が来るまで島から出られない為、酷暑の中およそ8時間、カメラをハンドストラップで手首からぶら下げて歩き回っていたのですが、長時間使用していると「ライカ M10モノクローム」から約120g軽量になった「ライカM11モノクローム」の軽さを実感する事ができましたし、レザーになった外装もより手になじむ感覚がありました。撮影目的の旅行だと1日に4万歩近く歩く私にとっては、軽量化も大きなメリットです。


また、今回予備のバッテリーは無く、夜行フェリーの乗船から無人島を出るまでコンセントもなく充電器を使用出来ない状態でしたが、モバイルバッテリーで充電可能になった事で、船での移動中や島内での休憩中に充電をする事ができたのも嬉しいアップデートだと感じました。「ビゾフレックス2」やライブビュー撮影を多用される方は特にメリットを感じられるのではないでしょうか。




長崎の無人島旅行から1週間後、今度は岩手県にある猊鼻渓へ



ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/320秒・ISO200・+1EV


花巻空港を利用して盛岡で1泊し、翌日朝一番の船に乗るため、早朝に出発して向かいました。猊鼻渓はその絶景とは裏腹に、猊鼻渓駅から徒歩5分で乗船場に到着出来る程アクセスが良い場所です。私は、まだM型カメラを手にしていなかった頃に2度訪れた事があるのですが、今回は初夏の川霧が発生する絶好のタイミングに、最新の「ライカ M11 モノクローム」を持って訪問することができました。





ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/320秒・ISO640・+1EV


この日は前日の雨の影響で、普段は川底が見えるほどきれいな砂鉄川も水がかなり濁っていたのですが、モノクローム撮影なら写真にはあまり影響もなく、川霧が出ていた事もあり、水墨画のような幻想的な景色を存分に写真に収めることができました。





ライカM11モノクローム+アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.
F8・1/180秒・ISO250・-1.3EV


手前の船と奥の木々をもっと圧縮して撮りたかったので、船上でしたが埃が入らないことを祈りつつ、慎重にレンズを「アポ・ズミクロンM f2/75mm ASPH.」に交換し、F8まで絞り込んで撮影しました。
手前の船から奥の木々までしっかりと写っていますが硬さがなく、木々の重なり、厚みが表現されているのが分かります。





ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/320秒・ISO1600・-2EV


岩肌の硬くゴツゴツした質感や、葉っぱの柔らかそうな質感を見事に描写している画像データを見ていて「しっかり写っているのに柔らかい」という言葉が浮かんできた1枚です。撮影した写真をすべて見返してみても、「ライカM11モノクローム」はその言葉が当てはまる写真が撮れるカメラだと思いました。





ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/320秒・ISO160・-0.3EV


ライカM11モノクローム+ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.
F8・1/320秒・ISO400・-0.3EV


「ズミルックスM f1.4/24mm ASPH.」で撮影した画像を1/10近いサイズにトリミングしてみました。ピクセル数を見ると約660万画素ですが、試しにA4サイズで印刷してみたところ、問題なく鑑賞できるレベルでした。


高画素化が進むと、そこまでの画素数は必要なのか?という話になりますが、特に「ライカM11モノクローム」のような、カラーフィルターが無く、より高解像度な画質が楽しめるカメラの場合、旅行時に撮影したデータをPCのモニターで拡大した際、撮影時に自分の目で見えていなかった物まで写っていると言うだけで、旅行の余韻を楽しめますし、写真の新しい楽しみ方の一つになるのではないかと、個人的には思います。




今回、「ライカM11 モノクローム」で撮影する機会を得たことで、10日間の中で九州の無人島と東北へ行くという、かなり欲張った旅程を決行しましたが、その素晴らしい景色を、モノクローム撮影専用機としてさらに進化、洗練された「ライカ M11 モノクローム」で撮影できた事で、旅行がより特別な体験となりました。


風景撮影では自分の目に見えていなかった物が写っていると言う驚きと感動を与えてくれ、ストリートスナップや夜の撮影では電子シャッターや高感度特性によって、撮影スタイルや表現の幅をさらに広げてくれる「ライカ M11 モノクローム」。


掲載用の写真撮影は日中がメインだったため、今回の記事の中では紹介できていませんが、「ライカM11モノクローム」は前モデルでも相当上がっていた高感度特性がさらに向上していることを実感できました。私個人の見解になりますが、普段愛用している「ライカM10モノクローム」はISOオート設定で上限をISO12500にして撮影しているところ、「ライカM11モノクローム」では夜のスナップ撮影で露出-1.0~-3.0の設定で撮影するのであれば、ISO100000までは許容できると感じました。


「ライカM11モノクローム」は、モノクローム写真を突き詰めたいと考えているすべての人に、ぜひ一度は手にしていただきたいカメラです。


Photo by Leica Camera Japan Staff




光と影で描く

ライカのモノクローム撮影専用機誕生から11年の時を経て誕生した「ライカM11モノクローム」。裏面照射型CMOSセンサーとISO 125~200,000 という広い感度域との組み合わせにより、他の追随を許さない繊細なディテールの表現力を誇ります。

モノクローム写真という表現手法に情熱を注ぐすべての人へ ── もっと自由に、いっそう軽やかに クリエイティビティを発揮できる撮影体験への扉を開くとともに、白と黒が織り成すイメージクオリティを新たなレベルへと進化させます。



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